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看護必要度から見る病院の舵取り(急性期)

1.平成30年報酬改定による看護必要度の変化

 平成30年診療報酬改定によって看護必要度の要件が大きく変わりました。変更点は、現行の評価方法に加えて、AとC項目については診療実績データ(EFファイル)での評価も可能となった点です。

 診療実績での評価方法を選んだ場合のメリットとしては、病棟看護師の負担軽減につながると考えられます。デメリットは、救急搬送後の2日間の入院評価がEFファイルから読み取れない理由より、看護必要度が低い値で算出されてしまうことです。つまり救急搬送後、特に軽症の症例を多く受け入れている病院は注意して選択する必要があるといえます。また認知症対応が評価される点は言うまでもないでしょう。これらを踏まえて次回改定も含めた予測をしてみようかと思います。

 

2.予測 

 まず一点目、今回の報酬改定議論の過程で、療養病床もデータ提出対象となることが明らかとなりました。結局200床以上の病院のみが対象となりましたが、次回以降の報酬改定ではさらに範囲が拡大することと考えられます。特に医療区分やADL区分に関しては厚生労働省としては詳細に把握したいところであります。

 

3.予測からの予測!

 さらに予測です。療養病棟の臨床から看護必要度を見た場合、医療区分2・3の患者さんに対する看護行為の労力はとても大きなものがあります。いくつかお伺いした先の療養病床1算定病院に必要度を出していただいたところ、70%超えの病院が多くありました。ここから各病棟種別のデータ比較分析を行い、今後の入院基本料の区分や報酬額そのものの検討が進むと考えられます。より実態が明らかにされるということですね。

 より具体的に申しますと、次回の報酬改定時にはDPCⅠ群の超急性期病院とDPCⅢ群ケアミックス病院の要求事項と評価区別のために、急性期の要件を厳格化する可能性が考えられます。なぜなら一般病床による認知症評価による看護必要度の「大幅な向上」は、急性期の中で回復期や療養型の患者さんを看ていると捉えられるからです。具体的変更点としては、A得点とC得点をより重点的に評価する方法に傾斜をかけるような変更などが考えられます。個人的には内科系の重症度の評価バランスから考えると、A得点の厳格化や評価項目の多様化等が落としどころとして考えやすいのではないかと思います。また高度急性期の定義を変更することも検討されるのではないでしょうか。

 

4.まとめ 

 今回の評価方法の変更で看護必要度が7%~10%上がった病院を見聞きしますが、内訳はケアミックス病院が多い傾向がありました。一方DPCⅠ群の病院は思ったように看護必要度が上がらず、30%が非常に厳しいハードルになっている事例もあります。      

 前者の病院は一見幸せな改定になったように見えますが、ある意味では「なんちゃって急性期」であることが浮き彫りになってしまったように感じます(いい表現ではありませんが)。今後2年間はラッキーと考えるのではなく、その地域に必要な役割あった形状変化をするための期間と考えたほうが良いのかもしれません。形状変化の観点から急性期一般入院入院料1から2・3への移行は、一見簡単なように見えますが、労務上や臨床上時間をかけて行うことが望ましいでしょう。このあたりを単純に考えますと、実務的に大きな摩擦を生みだします。まずは自院の将来的なビジョンを明確にし、浸透させながら病院全体で2・3への移行を目指すべきであると考えます。今回はそのための2年間であることを考えるのであれば、病院によっては非常に重い2年間になりそうですね。